【水平思考】アイデアは複数の問題を一気に解決する

任天堂の宮本茂の名言を水平思考の観点で考える。

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「ずるい考え方」(木村尚義/あさ出版)

ざっくり言うと

  1. アイデア乱立時代。デザイン思考の登場でブレストという単語は一般化し、ゴミアイデアが乱立する。
  2. 優れたアイデアは一握り。任天堂のマリオ生みの親、宮本茂によれば「アイデアというのは複数の問題を一気に解決する」。
  3. 論理思考に対して水平思考は優れたアイデアを生みやすい。「ずるい考え方」を読んで練習しよう。


デザイン思考の弊害、ゴミアイデア乱立


IDEOが生み出したトレンド、デザイン思考はブレストという新しい何でも会議の呼び方を生み出した。


ブレストは、本来正しいプロセスを経てアイデアが蒸留される必要があるが、よく見るブレスト会議は単なるポストイットの無駄遣いに終わりがちである。


アイデアを本気で活かすには、別のスキルが必要なのである。


こうして世の中に生み出されたゴミアイデアたちは、決して日の目を見ることなく、人々の記憶から消えてしまう。


デザイン思考は本来厳格な手続きを経なければ効果に現れない。


結局アイデア多産型が成功しているのは、IDEOnendoくらいではなかろうかと勘ぐってしまう。


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「ウラからのぞけばオモテが見える」(佐藤オオキ/日経BP)



アイデアは複数の問題を解決する結び目


そもそもアイデアを1−2時間で生み出そうと考えることが間違っている。


時間がかかるのだ。


アイデアは組み合わせだと、不朽の名作「アイデアのつくり方」でも言っている。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである

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「アイデアのつくり方」(ジェームズ・W・ヤング/CCCメディアハウス)


この本では、アイデアの生み出し方として「アイデアの卵がふ化するまで頭から一旦忘れ、思わぬ組み合わせを見つける」という方法を挙げている。自分でも思いつかない組み合わせが生まれるまで、ひたすら待つのである。


自動車メーカー、本田技研の本田宗一郎はアイデアが生まれるまで、数日間真っ暗な部屋にろうそくを一つともして閉じ籠もった、という逸話がある。


ロベルト=ベルガンティ「突破するデザイン」では、従来のデザイン思考への人々の期待を一笑に付す。Airbnbやネスカフェアンバサダーの例を挙げながら、愛される商品やサービスには常識の枠を超えた新たな意味付けが存在し、その意味付けを見つけるまで、健全な批判精神のもとで徹底的に叩き上げることを勧めている。アイデアは一日にしてならずなのだ。


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「突破するデザイン」(ロベルト=ベルガンティ/日経BP)


任天堂のマリオの生みの親、宮本茂は、「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」と述べた。


どんなものでもそうだと思うんですけど、 なにかをつくるときって、 「あちらを立てればこちらが立たず」 という問題がつねにあるわけです。 だから、なにかのことに対して、 「こうしたらよくできる」 「こうしたら悪くなる」 という選択があるわけですが、 現実になにか商品をつくるときには、 「ひとつだけ困ったことがある」という 恵まれた状態になることなんてまずなくて、 あちこちに困ったことがいくつもあるんです。 それは、商品だけじゃなくて、 組織もそうだし、対人関係もそうだし。 そういったことに対して、 「これは、こうだから、こうしたらいいんです」 って、ひとつだけ改善したとしても 全体を前進させることはできない。 ひとつ努力してよくしたとしても、 なんらかの副作用が出てきますし、 いままでうまくいってたことが うまくいかなくなったりもします。 だから、アイデアを出す会議などで、 「この問題をどうしよう?」 ということを話し合っているときに、 当然いろんな人がいろんなこと言うんですけど、 たいていそれは、ひとつの問題を解決するだけで、 ほかの問題を解決させるわけではない。 つまり、汗をかいた分しか前進しないんです。 で、ゲームの話に戻っていうと、多くの場合、 おもしろさが足りなくて悩むわけです。 当然ネタがたくさん仕込まれてるほど、 おもしろいわけだし、人は満足してくれる。 でも一方で、つくるのに割り当てられる 人材の量や時間は有限です。 有限の中で「多いほどいい」って言われたって、 解決できないわけですよね。 でも、ときどき、たったひとつのことをすると、 あっちもよくなって、こっちもよくなって、 さらに予想もしなかった問題まで解決する、 というときがあるんですよ。

ほぼ日刊イトイ新聞「アイデアというのはなにか?」(2007-08-31)より任天堂社長、岩田聡の発言


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「岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。」(ほぼ日刊イトイ新聞/ほぼ日ブックス)



水平思考でアイデアを生む練習を


ではアイデアを生むにはどうすればよいのか。


水平思考というものがある。水平思考は、既存の課題に対して発想の制約を取っ払い、ある種とんちのようなアプローチで持って解決してしまう発想法である。


水平思考には訓練が必要で、意識的に自分の中のロジカルシンキングを封印する必要がある。自分の中の心の声、「それは常識的に難しい」という制約を取っ払う練習が必要である。


デザイン思考のブレストは本来その意味を持つものであるが、ブレストもかんたんにできるものではない。ブレストには水平思考のスキルが必要である。


水平思考は思わぬ方向で課題を解決する。suicaの改札で計算時間がかかって行列ができてしまう、という課題に対して、水平思考は「自動改札機を長くする」というアプローチで解決させた。通常ならプログラムを見直して計算時間を改善しようとしてしまうはずである。


水平思考を実践するには、まずは事例を頭に詰め込むことが重要である。詳細は下記の書籍を参照されたい。水平思考を意識する様々なアプローチが詰まっている。


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「ずるい考え方」(木村尚義/あさ出版)



余談



筆者による筋トレアプリ、BADDYができました。
なかなか難しい筋トレのやり方、ジムの器具の使い方をアプリで見ながら、初めてのワークアウトをやってみよう。 運動メニューをダウンロードして、ワークアウトのお供にしよう。


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詳細は下記。 https://baddyworkout.com/blog/2017-01-04-start/


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